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薬物依存症とは?

憂うつで気分の悪い毎日が続くとき、忍耐や辛抱、努力によっては、その痛みが取り除かれないため、薬物が“魔法”の力を発揮します。その根底には自分の思い通りにならなかった「恨み」の感情があり、この感情は自分ではコントロールできません。「恨み」とは、家庭や学校、職場で、自分の思い通りにならなかった体験であり、嫉妬や羨望、自己憐憫、高慢なども含みます。アルコールや薬物の使用はその人に、一時的に気分の高揚や陶酔感を得させ、現状を耐えしのばせる手段として役立っていたという側面があります。薬物を使用することで身体や人間関係、そして社会生活に多大な支障が出ている場合、薬物依存症と診断します。

あなたの薬物乱用危険度は? <薬物乱用スクリーニングテスト (DAST-Japanese)>

薬物乱用スクリーニングテスト (DAST-Japanese) は薬物使用による危険度を測定するスクリーニングテストです。危険度を確認してみましょう。

薬物乱用スクリーニングテスト (DAST-Japanese)

1. これらの薬物を治療のため以外に使用したことがありますか?

(注)
これらの薬物とは以下のものを指します。

覚せい剤 (スピード、クリスタル)・コカイン・大麻 (マリファナ) ・麻薬 (ヘロイン、オキシコドン、メサドンなど)・吸入剤 (シンナー、エアロゾル、接着剤)・幻覚剤 (LSD、マッシュルーム)・向精神薬(抗不安薬、睡眠薬)・市販薬・鎮痛剤など

2. 一度に複数の薬物を乱用しますか?
3. 薬物をやめようと思ってもやめることができない時がありますか?
4. 薬物使用の結果、ブラックアウト(記憶が飛んでしまうこと)、またはフラッシュバック(薬を使っていないのに、使ったような幻覚が再燃すること)を経験したことはありますか?
5. 薬物使用について、悪いと感じたり、うしろめたいと感じたことはありますか?
6. あなたの配偶者(あるいは両親)があなたの薬物使用について苦情を言うことがありますか?
7. 薬物使用のために、家族を無視し、放置しておいたことはありますか?
8. 薬物を入手するため、違法行為に関わったことはありますか?
9. 薬物使用を停止したとき、離脱症状(気分が悪くなったり、イライラがひどくなったりすること)を経験したことはありますか?
10. 薬物使用の結果、医療上の問題が生じたことがありますか?(例:記憶喪失、肝炎、けいれん、出血など)

あなたのDAST-Japanese点数

合計 / 10点

0点… 問題はありません。
1~2点… 薬物使用に対する相談が必要です。
3~5点… 薬物使用に関する治療・相談・カウンセリングが必要です。
6点以上… 薬物使用に関する治療・自助グループの活用等が必要です。

1点以上の場合、専門機関に相談しましょう!(ご本人に限らず、ご家族の相談も受け付けます。)

※「薬物乱用チェックシート(DAST-Japaneses)」(作成者:各務原病院)を参照し作成。

「乱用」 「依存」 「中毒」 を区別して使いましょう

「乱用」とは「やってはダメですよ」という「おこない」そのものです。ダメなおこないを続けていると、「依存」という状態になります。依存が進行していろいろな問題が生じた場合を依存症といいます。これは、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を繰り返し行なった結果、その行動が最優先され、食事、家庭、仕事など他の大切な生活習慣が無視されるようになった状態です。さらに物質使用を続けると、今度は慢性「中毒」という身体の異常、そして幻覚や妄想などの出る精神病状態になります。

薬物乱用・薬物依存・薬物中毒の時間的関係

※元・国立精神神経センター 和田 清氏作成の資料を一部改変し作成

矢印のように乱用をくり返していると脳内が変化して「依存」が形成されます。さらにアルコールや薬物使用による結果、身体やこころの病気(中毒)が生じます。

回復の落とし穴に気をつける

アルコールや薬物の再使用(スリップ)は依存症者の場合いつでもありえます。図にある引き金に気づいて上手に対応しないと、再発が起こります。再発したときの行動は、これらを使っていたころと同じように考え行動することですが、まだアルコールや薬物を再使用しません。この時に誰かに「自分の苦しみを打ち明ける」などの適切な対応が必要です。これができないと再使用から崩壊へと進行していきます。

再使用は、自分の意志の問題だけではないことを知っておきましょう。

回復の落とし穴

違法薬物の使用は薬物依存症という病気で起こっていることを忘れてはいけません。司法で取締り、収容するという刑罰中心では再犯率が60%以上という実態です。2016年に「再犯の防止等の推進に関する法律(再犯防止法)」が議員立法によって成立・施行され、翌年に再犯防止推進計画が策定されました。この計画により犯罪をおかした人たちを孤立させるのではなく、円滑な社会復帰に向けて、切れ目のない、息の長い支援が実施されます。このため、国・地方公共団体・民間が一体となり、社会全体で再犯防止に取り組む仕組みを整えようとしています。

鳥取県再犯防止推進計画の策定(2018年4月1日)

鳥取県が渡辺病院を薬物依存に関する相談と治療の両者の機能をあわせた薬物依存症支援拠点機関に指定しました。薬物依存症相談・治療拠点機関の設置は、各関係機関の連携した一層のケアの必要性や、薬物依存に対する医療機関・体制の不足、薬物依存症者が自助グループだけでは薬物依存症の認識や支援の情報を入手しがたいといった課題に対応するためです。(更生保護 平成31年1月号〈解説〉「鳥取県再犯防止推進計画」小林真司 鳥取県福祉保健課課長より引用)

依存症のことでお困りの方、あるいは「もしかしたら依存症(アディクション)かも」と
不安を感じている方は、早めに相談してみましょう!

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